寒い日が続きます。何でも2月の真冬並みの寒波とか・・・。北関東でも雪が降ったようです

が、気仙沼では降りませんでした。

さて、昨日より毎年恒例のお正月様の頒布方(通称、お幣束切り)に御宿(地区の頒布方の

御世話をしてくださるご家庭)に伺っております。

              

「今年も詰めになったねー」12月と言っても一般的にはまだまだ年末と言う感じはしないの

でしょうが、我々がお正月様をお届けにあがると、皆さんその時期を認識なされるようです。

我々の訪問は年末の風物詩になっているのでしょう。

御茶を頂きながら、ご自宅で採れた柿をご馳走になりました。

              

全国的にはどの様に呼ばれているかは分りませんが、当地方では「さし柿」と呼ばれている

ようです。もとは渋柿ですが、渋の抜き方が今となってはとても珍しいものだそうです。渋柿

は一般的には干し柿にしたり、焼酎に漬けて渋を抜きますが、伺えばこの「さし柿」なるもの

「すいかつら」と言うつた状の植物、「もち藁」「豆殻」「茗荷殻」などを煮出し、そのエキスに

一昼夜さらす事で渋が抜けるとのこと。温度管理が難しく、こが(木製の樽ですね)に入れ、

煮えてしまわない位の温度で時々かき混ぜると言う作業で出来上がるそうです。味も風味

も独特との事で早速頂いてみました。確かに香りも独特で、味も焼酎漬けのものとはちょ

っと違うようです。とても美味でした。昔は多くのご家庭で「さし柿」を作っていたそうですが、

手がかかる作業と、技術を要し、今は作るご家庭が無くなり、その存在すら知らない人が

多いのではないかとの事。このご家庭は農家を営んでおり、「さし柿」も朝市などにもって

行くそうですが、昔の味を懐かしむ方からは好評を得ますが、多くはそれが何かも分らず、

やはり肌艶の良い今時の柿に目が行ってしまうようです。何でもそうですが、需要がなく

ては供給も無くなる、貴重な技術も無くなる、実に寂しい事です。

地元の建築会社さんが復興関連の御仕事で忙しく、また需要の絶対数も多いため、一般

住宅の建築は大手業者さんが参入しているようです。

当地方では立派な神棚を作ります。神棚を豪華にする事は家の繁栄、和合、その祈りと

象徴であります。地域の建築会社さんは、まあ頼まなくても大工さんが当たり前のように作

ってくれます。

でも大手ハウスメーカーさんは規格があり、その中に神棚にさくスペースは設けていない

ようです。一日でも早くと願われる居住と言う側面において、その復興には大手ハウスメ

ーカーさんの力に頼らざるを得ないところは事実でありますが、一方で地方独特の文化、

或は家庭祭祀と言う側面に於いて、失われつつあるもの・・・それも確かにありそうです。

あるご家庭のご神前に毎年のお正月様をお届けし、お幣束を準備し、今となってはとても

珍しい「さし柿」を頂く。色々な事を感じてきました。