表と裏の翁面
2010年 12月 5日
ある日ある時、とある方が来社し、持参した新聞包みを開くと上の写真の翁面が出てき
ました。
その方は、「どう?珍しいでしょ」と自慢気に私の顔を覗き込みます。豊かな髭をたくわえ
た素晴らしい翁面です。私は「そうですね。立派な翁面ですね」と答えました。
「なにの材料で出来ていると思う?」と聞かれたので、正直木材の類にはあまり詳しくな
い私は「なんでしょうねえ?」としか答えられませんでした。
そうしたら、その方はニヤッと笑いクルッと翁面の裏を見せてくれました。
ん?なんじゃ?竹・・・・?
そうなんです。竹の根を利用した彫り物でした。豊かな髭は竹の根が乾燥したものでし
た。竹は割れやすいものです。よくこんな加工を施したものだと感心していたら、その方
は「すごいでしょ。これ奉納するから」と言ってにこやかに帰ってゆかれました。
この翁面は社務所に飾ってありますが、壁面に飾ってあるので、裏が見えません。
裏が見えて価値があると思うのですが、だからと言って天井に吊るすわけにも行かず残
念です。 まあ何事にも裏があり、そこが肝心ということで・・・。