職人魂
2011年 1月 23日
昔ある発注主が、ある職人に神輿製作を依頼したのですが、大体形が見えてきた辺りに
神輿を見に行った発注主が、自分のイメージした神輿ではないと、注文をキャンセルした
らしいです。その神輿は未完成のまま倉庫に眠り、たまたまそれを見つけたある神主
が、未完成の神輿を買い取り、再び倉庫に眠らせていたそうです。
さてさて、今年は当社御鎮座330年に当たります。本年一年を奉祝の年として、様々な
事業を行ってゆく予定です。
20年前の310年記念の時には、神輿を修理しました。普段のお祭りで使用していた神輿
です。そしてそれとは別にもう一基、二まわり程大きな神輿が新調されました。
それは長年神社倉庫に眠っていた未完成の神輿でした。 そうです、冒頭たまたま未完成
の神輿を見つけ求めた神主というのは、当社の先代です。
310年記念の時には、今の宮司に代は変わっていましたが、小さい普段用いている神輿を
修理に出した際、その神輿職人に、そういういわれの未完成の神輿が在ると、たまたま話に
出したら、その職人いわく「その神輿を、志半ばで製作を中断せざるを得なかった、その職人
の気持ちを考えるといたたまれない。同じ職人として、その人の無念さが良く分かる。これも
何かの縁だ。金なんかいい!俺がその神輿を完成させてやろう」というニュアンスだったらし
いです。でも当社の総代会としては、じゃあタダって訳にもいかないだろうから、幾らかは・・・
ってな感じで浄財を募り、見事立派な神輿が二基完成しました。それが20年前の話です。
職人魂ってのは、損得では無く、まさに魂なんだなあと、その話を聞いたとき思いました。
その職人さんも100歳近くまで生き、天寿を全うされたと聞いていますが、そういう職人魂が
これからもあり続ければ良いなあなんて、勝手に思ったりしています。
今年330年事業では、神楽殿を新築する予定で、ただ今奉賛会を結成し、試行錯誤を重ねて
います。 皆様是非御奉賛をお願いいたします。
新調された神輿です。 こちらは修理した神輿です。