各時代の神社建築様式
2011年 1月 24日
今日は雪の一日です。積もることは無いものの、今年は毎日雪が降っています。
さて、今日は神社建築についてちょっと話してみようと思います。
社殿建築には材木から切り出した、角柱と、角柱の角を落としてさらに製材した円柱が
用いられます。本殿(ご神体が鎮座する殿)では内陣(一番奥の間)は円柱、庇や向拝
(神社の正面)には角柱を用いるなど使い分けています。また、本殿の梁や桁を受ける
「組物」はそもそも寺院建築の要素でしたが、奈良時代には神社建築でも「舟肘木」が
用いられるようになり、平安時代後期になると、さらに装飾的要素が加わり「平三斗」が
導入されます。桃山時代には「斗」を手前に持ち出す「出組(一手先)」が全国的に流行
し、江戸時代には「斗」がさらに持ち出す「二手先」や「三手先」などにより複雑な「組物」
を持つ社殿も作られました。
日光東照宮本殿の組物は最高格式の「三手先」、昨年国宝指定された久能山東照宮
本殿には「二手先」が使われています。広島厳島神社祓い殿では円柱の上に「平三斗」
を載せ平安時代末の平清盛による造営当時の形式を今に伝えています。京都下鴨神
社幣殿では柱上に「舟肘木」が用いられ、島根出雲大社本殿は組物を用いず、柱上に
直接「桁」を載せています。
それぞれ創建時の時代に応じた社殿建築になっています。今後神社をご参拝の折は、
そういった所にも着目しお参りなさったら、一層有意義な参拝になると思います。
因みに当社は本年、御鎮座三三〇年を迎えます。現社殿は240年前のものと考えられ
ます。社殿の組物は(専門家ではないので良く解りませんが)「二手先」が用いられてい
るようです。まさに江戸時代を代表する神社建築と言えるのではないでしょうか
当社の組物です。向拝は角柱を用いていますが、その他は円柱を用いています。
柱上は写真のように二手先でしょうか。古い社殿ですが、時代を感じさせるものです。