稲作という神事
2011年 9月 29日
今日は大安吉日です。天気も良くお参りの方も多いようです。秋になり、気仙沼地方でも田んぼを見ると
黄金色に色付き、来月頃からは稲刈りが始まるものと思われます。放射能の影響は無いとの事です。
お米に限らず風評被害に頑張っている東北の産品をよろしく御願い致します。
さて、稲刈りといえば、昨日天皇陛下が宮中で稲刈りをなされました。なぜ稲刈りを、天皇陛下のご趣味
なのかと思われる方もいらっしゃるかと思いますが、実はそう単純な事ではなく、稲作が天皇の存在意義、
日本文化の根幹に位置するからと考えることが出来ます。神話に基づきますと、皇室の祖神である天照大
御神の命を受け、お孫神様である邇邇芸命が稲穂を託され天孫降臨(この世界に降り立つ)の際、神勅
(お告げ)を受けられます。いわゆる三大神勅と言われるものです。
一、天壌無窮の神勅 『豊かな葦原の瑞穂の國は我が皇孫の王たる国である。天つ日嗣(ひつぎ)である
天皇が栄えること天壌と窮り無いものです(天地のある限り永遠に栄えます』
二、宝鏡奉斎の神勅 『この鏡を私と思い、常に側におき、お祀りしないさい』
三、斎庭(ゆにわの)稲穂の神勅 『高天原の斎庭の稲穂を、その国で大切に育てて継承しなさい』
以上が三大神勅と簡単な略になります。これらは狭義に捉えず広義に捉える必要があります。天皇が栄える
という事は、国や国民が栄えると同じ意味になります。そして、稲穂を大切に育てて継承する事がその前提に
なるということなのでしょう。つまり天照大神、邇邇芸命の直系である天皇陛下は、祭祀王たる御身を以って、
現代に在っても神勅を忠実に守り、国の繁栄と民の繁栄を祈られているという事になります。因みに天皇陛下
はお育てになった稲を、秋には伊勢神宮の神嘗祭、宮中での新嘗祭にお供えされます。
それと、日本人は産巣日(むすひ)と言う「生成」の信仰を稲穂に象徴しており、稲作に文化の原点を持っている
ことから、稲作を神事と捉える面もあると思います。延喜式に記載される中臣大祓に天つ罪の下りがあり、その
罪の内容は、田を壊したり荒らしたり奪ったりという事が重い罪と謳われています。それだけ日本人は古来より稲
作を神聖、重要視しています。ですから日本人は欧米に見られるような大量生産を追わず、労を惜しまず実直に
稲作を行う、結果的に美しい田園風景と共に美味しいお米が出来上がります。日本を表す古語に「大倭豊秋津島」
とか「豊葦原瑞穂国」があり、それには訳があると言うことですね。
日本の文化であり神事であり、突き詰めて言えば皇室や日本そのものと言える稲作。今外国の圧力の下、民主党
が進めるTPP、大丈夫でしょうか。物流の自由化という単純な問題ではない、何か日本の危機という感じがします。
今日は何時にも増して長かったですね、失礼しました。