マル秘、神主情報
2011年 10月 6日
本屋に行って見たら「一個人」という雑誌で神道入門と題して特集が組まれていました。買って読んでみますと、
入門とはいえかなり専門的な分野にまで入り込んでいます。ニーズが無い特集を雑誌が組むわけも無く、様々
な意味合いを含みますが、日本人のルーツを探るのに神道は避けて通れません。神道は「教」ではなく「道」な
んです。その事に興味を持たれる方が増えてきたのでしょうか。
神道を学問として見れば、歴史的に確立された分野もあれば、未だ研究の余地が残されている分野もあると思
います。ですからひとつの入門書を見て「これだ!」と思うのもどうかと感じますが、私も学生時代ご教授頂いた
先生や著名な先生方が監修されたので、理解できる部分が多く、一般向けとしてはかなりレベルの高いもので
はないかと思います。ただ「あれっ?」と感じる箇所も所々在る訳でして、特に自分たちの事が解説されている
「神職とは何か?」のところは気になってしまいます。
先ず全国に在る神職養成機関を修了し、神社本庁の審査に合格し、「階位」を得れば晴れて神職になれるとあり
ますが、神社本庁の神職にあって、実際階位=神職ではありません。階位を以って神社の役職に就き、相応の
身分を得て初めて神職と呼ばれます。私たちは階位をとってからが本当の修行です。神社によっては出仕や主典
などという職称があり、階位を有しながらも神職見習い中の方々です。神社によって様々ですが数年間に及ぶ場
合が多いようです。神社本庁の神主は権禰宜以上の役職に就くことで初めて級が与えられ神職となります。そして
それからも多くの人と接し、多くを学び経験し、神職は神職として磨かれてゆく、いずれの職種にも言えるとおもいま
すが、それが職というものだと思います。そう思うと、日々本質を求め、神職たらんとして自らを律する事。階位とか
役職とか規定上の神職とは?以前に、実に必要で、心掛けなければならない事だと思います。
先ず規定上の大前提に、神社とは関係なく階位だけを持っている人は沢山居て、階位=神職(神社本庁)ではあ
りません。良くある事例に、階位を持ったサラリーマンが、その資格で以ってホテルなどの結婚式を行う、これはデ
リケートな問題で、是でも非でもないのですが、少なくとも神祇院から引き継ぐ神社本庁の認める神職ではありませ
んのでご注意が必要です。
それと本では、神職の級位も「殆んどの人が二級(紫袴)以上にランクされている」とあります。それは明らかに違
います。うる憶えですが浅葱袴(黄緑に近い)を着ける三級、四級の神職が全体の半数以上(おそらく6割から7割)
を占めていると思います。二級は本庁の審査や辞令が伴う、それこそ実績と功績が認められた中堅以上の神職で
す。神職になり多くを学び、研鑽を積みながら20年、30年と時を経て、二級神職として認められる、二級以上が殆
んどの神職人口を占めるはずは絶対無く、二級神職の名誉の為にも訂正させていただきます。いわんや二級以上
をやと言ったところです。
17年袴は着けたものの、当然まだまだ半人前の小職は三級であります。身分相応ですが、神様に奉仕する「心」
に級は在りませんので、前述したように本質を求め、真の神職たらんとして頑張りたく思っています。
この雑誌、その他にも所々に「ん?」というのがありますが、これから神社で神主に接するに当たって、誤解を頂い
たら困るなあという所だけ訂正させていただきます。
多くの方々に神道に興味を持ってもらうのは嬉しい反面、知られすぎてしまう、しかも間違った理解で・・・。チョット
複雑です。この情報化社会、無理も無い事ですが、神主とかお坊さんとかは、ちょっと秘密のベールに包まれて
いた位がちょうど良い気もして・・・勝手でしょうか?