神宮大麻頒布始祭が斎行されました
2012年 11月 27日
寒い一日です。初雪も空を舞いました。
今日は当社の神宮大麻頒布始祭が斎行されました。頒布御世話人様が集われ、祭儀の後
宮司より神宮大麻が託され、頒布方をお願い申し上げました。当社や宮司奉務社の氏子の
皆様は、神宮大麻(お伊勢様の御札)を大麻御世話人様から受けられるご家庭、神社にて
受けられるご家庭様々ですが、いずれ新年を迎えるにあたり国民の総氏神様としてお迎え
しなければならないお札です。
我々日本人の精神根底には、祓いから再生、また生成、産霊(むすひ)という概念が根付い
ており、時代の変遷やどの様な趨勢が在っても、それは厳と変わらない物であると信じま
す。
伊勢神宮の年間の恒例祭、特に神嘗祭などはその日本人特有の概念を象徴する祭儀であ
ると思いますし、来年平成25年に斎行される二十年に一度の式年遷宮はその集大成とも
言えると思います。社殿はもとより装束神宝に至るまで一切を新しく造りかえるその重儀
は、まさに清浄、再生、生成の最たるもので、神宮の常に清く強く光り輝く様は、日本民族の
在り方を諭し、その血脈の絶えざる事を願ってきたものでありましょう。家庭祭祀において、
新年に神宮大麻やお札を新しくするのも、またそれに同じ。ですから神宮大麻やお正月様
を迎え、新玉の新年を寿ぐ事は、家庭祭祀の原点でもあり、家族和合の象徴的事柄なのだ
ろうと思います。
さて、神宮の御札、神宮大麻、今年は記念の年となります。私が書くと文章が支離滅裂に
なるので、神宮崇敬会の会報「みもすそ」より転記させていただくことにします。
神宮大麻とは、一体一体丁寧に奉製され、お祓いをして届けられる神宮のお神札のこと。
大麻は「おおぬさ」と読み、本来はお祓いに用いられる用具「祓串」を指しました。それゆえ、
かつては「お祓いさん」「お祓い大麻」と呼ばれ、御師(神宮の神職)を通じて全国の崇敬者
の家々へ配られてきました。
お神札を家庭の神棚におまつりし、日々の祈りを捧げることで、遠い地からでもお伊勢様の
ご加護を授かる事が出来るというわけです。
御師の活躍により、江戸時代後期には日本の世帯数の九割近くがお神札を受けていたと
の記録があります。
ところが明治4年、神宮で制度改革がなされると、御師の活動がすべて廃止に。翌5年、
明治天皇の御聖慮により、神宮司庁から大宮司の責任において神宮大麻は奉製、頒布が
行われることになりました。
その後、数度の変遷を経て、昭和20年の終戦以降は、神社本庁を通じて全国のご家庭に
頒布されてきました。
以上、転記させていただきましたが、今年は明治天皇の御聖慮により現在に見る神宮大麻
が頒布されはじめてから140年の記念の年に当たります。氏神様を通して地域がひとつに
なるように、伊勢神宮を通して国民がひとつになれる。「絆」と言う言葉の真なる事を感じる
昨今、鑑みて、今震災からの復興を目指す当地域を始めとする東日本の地域では、国民の
総氏神様、伊勢神宮のご神威を仰ぎ、再生、生成の力に深く想いを寄せている。それは私
だけではないでしょう。
「なにごとのおはしますかは知らねどもかたじけなさに涙こぼるる」
平安から鎌倉時代初期の僧侶で歌人、西行法師が参宮の折、詠まれた歌です。